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イベント
 男 :「ま、待ってくれ! それを持っていかれたら家族が飢えて死んでしまう!」
盗 賊:「どうせこれっぽっちの食料があったところで、飢えて死ぬのは同じだろ! ほら全部よこせっ!」
 男 :「そ、そんな……それが最後の食料なのに……!」
略奪――
 女 :「うぅ……く、苦しい……た、助けて……」
女の子:「おかあさーん、うぅ、ひっく……」
男の子:「誰かおかあさんを助けてよぉ……」
疫病――
老人壱:「イナゴの大群にやられて畑が全滅だ……今年の実りが……」
老人弐:「隣の村は日照りで畑が干上がってしまったと……」
老人参:「北のほうでは川が決壊して田んぼが全部流されてしまったらしい……」
荒廃し、実りを失った大地――
 女 :「誰か助けて~! 赤ちゃん……赤ちゃんがいるのぉ!」
赤ん坊:「おぎゃあ! おぎゃあああ!」
男の声:「ひいいいっ! た、助けてくれええっ!」
女の子:「うわーん、痛いよぉおっ! 血が止まらないよぉっ!」
逃げ惑う人々、辺り一面に広がる血の海――
暁 人:「う……っ……」
またいつもの夢を見ている。
俺はそれを理解していたが、体は動かず、目を背けることも出来なかった。
多くの人々が逃げ惑っている。人々の背後には恐怖が迫っている。
暁 人:「駄目だ……逃げろ……」
俺の声は届かず、ばたばたと血を吹きながら人が地面へ倒れていく。
赤ん坊、女の人、老人、子供……血の大地に倒れているのは弱いものたちばかりだ。
それに今の現状に憤りを感じ、義勇兵に名乗りを上げた農民たち……ろくな武器も防具も与えられなかった彼らは、真っ先に大地に転がり、血の海を広げていく……。
そして、その波は確実に俺のほうへと近づいていた。
暁 人:「ああ、もう駄目だ……っ……呑まれるっ!」
暁 人:「はぁ、はぁ……っ……」
気がつくと俺は寝台の上に身を起こしていた。
全身はぐっしょりと汗にまみれている。
暁 人:「またあの夢か……」
布で汗を拭いながら、俺は大きく息を吐く。大丈夫だ……あれは夢だったんだ……そう言い聞かせながら。
滅びの夢……俺をたびたび苦しめる夢。
本当に現実の景色かと思うほどに、生々しい夢を何とか頭の隅に追いやっていると、甲高い女の声が脳裏に聞こえてきた。
女の声:「またあなたなの? あなたがやったんでしょ!?」
男の声:「どうしてそんなことが分かるんだ? やっぱりお前は化け物だ!」
暁 人:「ち、違う……ぼくは……化け物じゃない……」
女の声:「化け物じゃなかったら、どうして分かるの? 人間にそんなことが分かるはずないでしょ? 夢を見たなんてそんな嘘はもう通用しないから!」
男の声:「お前が生まれたときに嫌な予感がしたんだ。やっぱりお前なんか生まれてこなければ良かった」
暁 人:「やめてよ……父さん、母さん。もう何も言わない。だから……そんなこと言わないで……! ぼくを見捨てないで……!」
???:「あなたの能力をどう使うかはあなた次第なのよ。きちんと見極めなさい」
暁 人:「そうだな。本当にいつもあなたの言葉に俺は救われている……」
あの人のことを思い出すたび、いつも胸の中が懐かしく温かな空気で満たされていく。
暁 人:「すっかり目が冴えてしまったな」
気分を変えようと思い、俺は天幕の外へと出た。
暁 人:「さすがに外は冷えるな」
まだ夜が明けるまでには時間がありそうだ。
空には満天の星が輝いている。
暁 人:「俺に何が出来るんだろう……俺に出来ることって、本当にあるんだろうか……」
星の瞬きに問いかけるように、俺は呟いた。
当然、返事はない。星はただ瞬きを繰り返すだけだ。
でも、『あの人』はそう言っていた。
俺に出来ることは必ずあるはずだと。
俺が生まれてきたことには重要な意味があるのだと。
この国の歴史を変えるほどの力が、俺にはあるのだと。
俺はその言葉を信じて、ここまでやって来た――。
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